多様な人財のパイプライン構築

The Dream Collectiveが12月1日に開催したイベント、「多様な人財のパイプライン構築」では、日本市場における多様な人財の確保をテーマに、各分野の専門家の方々を招待し、パネルディスカッションを行いました。パネリストは、アサヒグループホールディングス顧問の松尾美香さん、三菱UFJ銀行常務執行役員の豊川由里亜さん、Uber Eats Japan 合同会社 Interim General Managerの中川 晋太郎さん、SThreeのシニアセールスチームマネージャーのアレクサンダー・ジェナーさんの4名でした。

この対談から、組織の多様な人財獲得活動を支援するための重要なポイントについて、以下のような知見を得ることができました。

日本の人財市場にはどのようなトレンドがありますか?

  1. 労働環境の柔軟性  
    1. Covid-19の影響で、企業はフレキシブルな労働環境を提供せざるを得なくなりました。現在、一部の企業はパンデミック以前の働き方に戻りつつあり、また他の企業は柔軟性を維持しつつあります。特に若年層や女性社員にとっては、フレキシブルな働き方は重要な考慮事項となっています。
  2. 労働人口構成の変化 
    1. 2025年にはZ世代が労働人口の30%を占めるようになり、彼らのニーズや期待も大きく変わっています。そのため、彼らを引き付けるため、新しいニーズに適応する必要性が高まっています。
  3. 転職の活発度
    1. 転職の頻度は以前よりも高まりつつあり、現在2年ごとの転職が一般的にも認められてきています。これは、雇用主が優秀な人財を確保・維持するために、より意図的に努力する必要があることを意味します。

このようなトレンドに対応するために、企業はどのようにすればよいのでしょうか?

  1. ハイブリッドワークに関する柔軟性と明確性
    1. オフィスに戻ることが重要だと考えられている場合もありますが、対面での時間の価値を説明し、柔軟なオプションを提供する必要があります。
  2. オーダーメイドのキャリアアプローチ
    1. より早いキャリアアップを望むZ世代のニーズを考慮し、キャリアアップの機会や特定の分野での専門性を高める機会を提供することで、そのニーズに対応します。
  3. ESGとDiversity, Equity & Inclusion (DEI)へのコミットメント
    1. ESGへの取組みは、今や雇用主を選ぶ際の重要な要素であり、特に自身の仕事において、社会的意義を求める人々にとって不可欠な要素となっています。ESGやDEIの取り組みを雇用者ブランディングに取り入れ、優秀な人財を惹きつけ、目標に向かってどのように前進しているかを振り返りましょう。

企業が自社を差別化し、最も質の高い人財を惹きつけるためにできることは何でしょうか?

  1. 採用プロセスを通じて、明確なバリュー・プロポジションを伝える
    1. エンパワーメント – 経営トップの役割は、明確なビジョンを設定することですが、同時に、社員が新しいことを提案し、実行できるようなボトムアップの取り組みを育成・奨励することでもあります。安心して挑戦し、失敗してもいい、そして挑戦し続けることができる文化を築くことが重要です。
    2. 人財への投資 – 中途採用者の再教育、コーチング、メンタリングなど、さまざまなキャリアステージに応じた研修プログラムを提供します。新しい環境で最大限の能力を発揮できるよう、社員に力を与えることが極めて重要です。
    3. 明確な組織目標 – ミレニアル世代とZ世代は、より良い社会の実現に貢献することに情熱を持っており、彼らは組織の目標を信じることが大切です。組織の目標は、経営戦略の重要な一部であり、経営トップが社外・社内のあらゆる場面で伝えるべきものです。

組織はどのようにすれば、まだ十分に活用されていない人財プールにアクセスすることで、パイプラインを成長させることができるでしょうか?

  1. エクイティ&へのコミットメントとその広報
    1. 同程度の経験を持つ新入社員や昇進候補者がいる場合、活用されていないグループのメンバーを選ぶことを約束し、そのことをオープンにすること。
  2. エクイティを組織の課題にする 
    1. さまざまな問題をマイノリティの問題としてとらえるのではなく、組織の問題としてとらえることが必要です。女性が出産後に職場復帰する場合、男性も家庭生活でより積極的な役割を果たす機会を失うことになります。長時間労働、育児休暇の取得、柔軟な勤務形態など、根本的な原因に取り組むことが重要です。

多様な人財を引き付けるために、企業が導入できるクリエイティブな解決策はありますか?

  1. 社員からの紹介 
    1. 優秀な人財は優秀な人財を知っており、マイノリティ当事者のグループともつながっています。社員の紹介制度に対して金銭的な報酬を与え、それを宣伝することも効果的です。
  2. ターゲットを絞る
    1. 特定のマイノリティグループに属する人財を引きつける機会を作り、通常ではなかなか聞きづらいような質問もできる場を提供します。技術系であれば、男性優位の業界というイメージを変えるために、女性限定のイベントを作ることもできます。
  3. 外資系企業と国内企業の中途採用の垣根を取り払う
    1. 日本企業にとって、外資系企業出身の中途採用者を受け入れることは、環境の多様化、次世代への継承のためにも重要です。
  4. オンライン・ネットワークを構築し、一度退職した人財を迎える 
    1. 以前は同じ会社で働いていたが、別の会社に転職した人財を迎え入れることは、これまででは「裏切り」とも考えられていましたが、今では多様な視点や経験のもととして活用することができます。

このイベントは、SThree社とのパートナーシップにより実現しました。SThree社は、STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学)分野に特化したグローバルな人財紹介会社です。STEM分野でのスキルや経験を持つ求職者の皆様と、未来志向の企業を結び付けることで、キャリアアップ、そして企業の成長のお力添えをいたします。SThreeについて詳しくsthree.comをご覧ください。

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